日本のみならず、名言・格言は世界中に存在します。
素晴らしい人生経験を重ねた有名人や、古くから道徳的に伝えられてきた格言まで様々です。
これらの名言・格言を最新の脳科学で検証してみると意外なことが判ります。
・情けは人の為ならず
もちろん 人に情けをかけることは、その人の為にならない。という意味ではありませんね。
多くの解釈は、人に情けをかけることは、その人のためだけでなく、いずれ自分にもその善行が返ってくるよ、いい事があるよ。
ほとんどの人がそう思っています。
ところが脳科学から検証してみると、少しばかり違った解釈ができます。
いずれ自分にも返ってくるどころか、即効性のある、即座に幸せになれる格言だったのです。
そこで今日はこの「情けは人の為ならず」を、脳科学から解釈してみましょう。
まず基本的な脳科学の知識として、以下が挙げられます。
1.人の行動の9割以上は潜在意識によりコントロールされている。
2.潜在意識は自己と他(自己以外)の区別がつかない。
3.思考を司る健在意識である前頭葉はポジティブな言葉で活性化する。
これだけの脳の特徴からでも、この格言が少し違った解釈ができる事がおわかりでしょう。
他者になさけをかけることは即、自分自身にもなさけをかけている事になります。
他人に優しい言葉をかけることは、自分自身(健在意識)では自覚がありませんが、潜在意識は優しくされた気持ちになります。
いつも人に優しくしていると、潜在意識は幸せで満たされるのです。
いずれ自分自身にも返ってくるどころか、その瞬間から心が満たされるのです。
人にやさしくした、という自己満足の結果ではなく、潜在意識はまさに自分自身への言葉として記憶し、結果として人を幸せな行動へと導いてくれるのです。
では、その逆を考えてみましょう。
人に辛くあたるとき、潜在意識には自己と他の区別がつきませんから、自分自身が攻撃されたと受け取ります。
いつも人に辛くあたっていると、潜在意識は人生を辛いものだと記憶します。
その結果、前頭葉は萎縮して思考を止めて、辛い記憶ばかりの人生を構築します。
これには、もう一つの脳の特徴が関係しています。
4.潜在意識は変化を嫌う
潜在意識に蓄えられた、喜びや辛さといった気持ちは、その経験数の差が多い方を好ましい環境である、と判断します。
いつも人に辛くあたることは、自分自身を辛いポジションに置くことになり、その辛いポジションこそが好ましい環境であり、その環境を「維持したい」と判断してしまうのです。
結果的に前頭葉が考えることを止め、それを繰り返すという悪循環に陥ってしまうのです。
この悪循環を解消するためには、潜在意識を教育しなおす必要があります。
それが「習慣」と呼ばれている行動制御です。
前述のように脳は直近の数の多い経験を好ましい環境にいる、と判断しますから 人に情けをかけることを意識し長期間続けることで、自分自身の脳を再教育することができるのです。
冒頭で、即効性があるといったので、長期間続けなきゃならないの?という疑念が湧くと思いますが、理由があります。
一つには、長期間とは3ヶ月程度のことで、それだけで一生を辛い人生を幸福な人生に変えることができるということ。
もう一つは、習慣にするには3ヶ月を要しますが、人に情けをかける、優しく接するというのは即座に脳が幸福を感じます。
ただし、本当に幸福な人生を望む人は 3ヶ月を頑張って習慣にすると良いでしょう。
習慣になっていないと、あっという間に逆戻りするからです。
たとえば、電車で人に席を譲ってあげた。としましょう。
相手によっては、譲られたことに感謝してくれるどころか、ムスッとした顔でただ座ってしまうだけの人もいると思います。
このとき せっかく席を譲ったのになんだあの態度は!とイラッとすることがあるでしょう。
この時のイラッと、が逆効果になるのです。
そして ここが「情け」の脳科学的解釈の本質です。
習慣化することで、ここでイラッとする必要がないことがわかってきます。
表向きは、あなたが他人に対して優しくした行動に映りますが、脳の中では自分自身を喜ばせる行動なんですね。
ですから その結果の相手の態度を気にする必要がありません。
なんといっても自分のためなんですから。
実を言うと、習慣化してからでも、少しばかりイラッとすることはあります。
その時、イラッとする気持ちに対して「自分自身に余裕がないな」と振り返ることができます。
つまり習慣化ができていると、悪循環に陥る前に 自分自身で幸福への軌道修正ができるようになります。
つまらない相手にあったからといって、あなた自身までつまらない人生を送る必要はないんです。
情けは人の為ならず。
どうですか?
脳科学から検証すると、こんなに人を幸福にする真実を表した格言はありません。
実践するのには少しばかりハードルもありますが、その気になれば 今から実践可能です。
世の為人の為ではなく、自分の幸せに直結するのですから、行動しない手はありませんよ。