働き方改革が叫ばれて久しく、コロナ禍による在宅勤務の普及なども後押しした結果、形だけの働き方改革は少しずつ広まって来ました。
一方で 企業内では相変わらず、そして増々「生き辛い」が蔓延してきています。
真の働き方改革は程遠いのが日本の実情でしょう。
そもそも在宅勤務や それに伴う指揮系統の実態への摺合せが働き方改革の中心とはお笑い草です。
本当の意味での働き方改革とは 誰もが仕事へのやりがいを感じ、より充実感・達成感を得ることができ、生産性への寄与があってはじめて改革が成功したと言えるのではないでしょうか?
そもそも日本社会では、どんな相手に対しても素直に自分の意見を口にすることがはばかられる風潮があります。
学校教育の場などでも、生徒が「これは今私が思ったことなんですが・・・」と前置きをして発言をする場を目にして違和感を覚えます。
そんなことは当たり前で、前置きなど必要もない場で、小さな子供がこうやって周囲に忖度しながら意見を言うのが普通になってきています。
就職したら今度は会議の場で、有力者・権力者の意見や思惑に忖度した発言を求められます。
権力者の意見に対して 相手が思ってもいなかったケースを指摘などしようものなら「あいつはけしからん!」と烙印を押され 出世コースから真っ先にはずされます。
こんな組織の中で「周知を集める」など程遠いのが実態です。
その理由の一つには 日本人のディベート下手も在るように感じています。
アメリカなど欧米の高校などでは頻繁にディベートが取り入れられています。
ここで重要なことは、
・相手をリスペクトしつつ意見を交換する。
・相手を言い負かすことが目的ではなく理解する。
賛同するかどうかは別の問題で、相手を尊重して意見の内容を正しく理解することが その目的となります。
その前提には、世界にはいろんな人が居て いろんな事を考えていて その意図をなるべく正確に理解しようとする姿勢を育て上げることにあります。
正しく理解した上で お互いの意見の違いを認め それぞれどんなメリット/デメリットがあるかを冷静に判断する。
この姿勢が 結果的に生産性を上げるために必要な根底となるのです。
日本ではどういうわけか「論破する」事がアタマイイとされがちですが、そんなことが目的ではますます日本の生産性は、世界の下位レベルから脱することが困難になります。
自分だけが「正義」であり、異なる意見は「悪」であるという、単純で根拠も無い正義感が、声の大きさだけでまかり通ります。
偉い人の発言だけが「正義」であり 異を唱えることなど許されない空気が場を支配します。
異論や疑問などを口にしたとたんに
・俺に恥をかかせやがった
・俺に楯突いた
となるんですね。
実際 偉い人同席の会議で 流れに棹さすような発言をする時には クビや降格を覚悟で訴えるくらいの勇気が必要になる企業もあります。
こんな状況で 生産性が上がる意見など出るはずもありません。
偉い人の過去の業績を早く陳腐化させて 次の業績となる核を作り上げるべき若い世代が 何事にも忖度するだけの社会生活でどんどん腐っていきます。
偉い人はたいてい過去の業績によって そのポジションに居るにすぎません。
ドラッカーの言う通り 今日決めたことが明日も正しいかどうかはわからないのが世の中です。
最前線に立たない偉い人が世の中を正しく知り 正しい決断をするためには、正確な事業状況の報告、顧客の状況などを知る必要があります。
偉い人の期待を勝手に想定した下手なバイアスによって ますます捻じ曲げれた報告が行われ ますます企業の舵取りが間違った方向に進みます。
正しく客観的な分析ができれば 偉い人もダテに偉くなったわけではないでしょうから、ある程度正しい方向性に舵取りすることができます。
できれば 最前線に立つ若い社員の 忌憚ない意見を取り入れることができれば もっと正しい方向に向かうことが出来るでしょう。
とは言っても これを実施することは 相当な困難を伴います。
起業して間もないベンチャーであれば 創業者の頭の柔らかさ、多様なコミュニケーション手段で 起業家精神を社員一同で共有し一致団結した方向を目指すことも可能でしょう。
ところが企業年齢が25年、30年と経つうちに 経営者が代わり、起業の目的も、起業家の想いも失われ 組織の存続自体が目的にすり替わります。
偉い人も 上手いこと会社を廻して 自分の給料を上げることが主な目的になってきます。
こうなると 企業風土を変革するためには 大胆な改革が必要となってきますが、たいてい後手にまわった挙げ句 形だけやってみた結果、効果が見えない状態に陥ります。
やってみればわかりますが、社内でリーダーを立てて風土改革に取り組んでみても 殆どの場合 効果は上がりません。
そしていつの間にか 上っ面効果があったようなでっち上げを行って 取り組みが終わります。
本当に改善するためには、きちんと社外のファシリテータをつけて プロの目で欠点/欠陥を指摘してもらい 改善していく長期的な活動が必要になります。
これが上手く廻るようになることが 風土改革であり 社外のプロが引き払い、社員がファシリテータとなった後も 長期的に生産性の向上に取り組む風土ができるでしょう。
とは言え こんな風土改革って、そもそもトップダウンでしか実施できないので、ほとんどの企業は20年から25年くらいで死に体になるんですね。
残念なことです。
やばい!風土改革やらなきゃ!って思ったら、知り合いや お近くのメンターにご相談くださいませね。
メンターってたいてい 上に挙げたファシリテータも得意な筈ですから。