明太は今から40年ほど前に社会人になりました。
この当時の組織の部長クラスの方々は、目標にしたい様な素晴らしい上司がたくさんいらっしゃいました。
新入社員は恐れ多くて、部長さんに声をかけたりできないほど大きな組織だったのですが、部長さんや さらに上の取締役クラスの方は、新入社員にもちょくちょく声をかけていただいた事を覚えています。
反面、課長クラスには尊敬できないワガママな上司も何人かいらっしゃいました。
この頃の課長さんたちは いわゆる「団塊の世代」が多く、手柄は全て自分のもの、失敗は部下の責任とする人が一定数いました。
もちろん全ての方がそうだった訳ではなく、明太の上司となった課長さんは 部下の面倒見の良い 素敵な方でした。
この当時は当然1on1なんていう言葉はありませんでしたが それに近いことはちょくちょく行われました。
新入社員だった自分は 失敗するたびに会議室に呼び出されましたが、決して叱責されるだけではありませんでした。
失敗の原因を一緒に深堀りし、最後は応援と期待を伝えてくれていました。
これは明太にとって幸せな社会人スタートができた素晴らしい環境だったと思います。
その後 自分が課長職になった頃には、素晴らしい上司だった方々が定年されたり、リストラの噂が出た時に さっさと退職されて 他の会社に移ったりされていて、尊敬できる上司が社内に居なくなったのです。
そうなると職場はどんどん変わっていきました。
仕事をすればするほど 上司からイジメのようにチクチクやられるワケです。
その頃は 明太も部下を指導する立場にありましたが その職務も取り上げられ 部下ともども 毎日チクチクやられます。
入社した当時は「人材こそ会社の財産」そんな社風だったのに、あっという間に 「利潤が全て」のダメな方向に社風が変わってしまいました。
こんな事が この時期、世の中で多々繰り広げられたんだと思います。
そして 長いこと失われていた「人材育成」が「1on1」として帰って来た様に感じています。
かつての人材育成は 上司の人格に依存していましたが、それでも十分に機能し、効果を挙げていました。
今現在言われている 1on1 は、その枠組みや やり方を指導してあげないと うまく機能しません。
なぜなら、指導する側に「理想的な指導」をされた経験がないからです。
時代が変わったことにも大きな関係があります。
ネットにも書店にも「こうすれば上手くいく1on1」的な情報が溢れていますが、残念ながらそれらからの情報だけでは うまく部下指導できることはできません。
それらの情報は「ハウツー」に分類されるものです。
「ハウツー」は実行する側の即効性を求めた指南書に過ぎません。
人材育成には 人間対人間の切磋という面があります。
スキルを積み上げる根底にある「人格」をベースとして必要とします。
指導される側の部下からみたとき、尊敬する上司や先輩である必要があるんです。
これはハウツーでは身につきません。
自分自身が 同じ様に指導される経験を必要とするんです。
その過程で 部下に信頼される人格が身につきます。
普遍的で永遠に効果の上がる1on1を実現できるのです。
残念ながら 冒頭で述べたように 素晴らしい部下育成ができる素晴らしい上司の伝統は、日本社会では途切れてしまいました。
1on1が、かつて当たり前に行われていた素晴らしい部下育成に追いつくためには、もう少し時間が必要かもしれません。
なるべく早く 実現したい企業は 外部のサービスを使ってみるのも良いかもしれませんね。